(旧)週間買った本

2013年まではてなダイアリーに書いたもの。

読んだ本

オシムの言葉 フィールドの向こうに人生が見える作者: 木村元彦出版社/メーカー: 集英社インターナショナル発売日: 2005/12/05メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 90回この商品を含むブログ (395件) を見る今頃書評らしきものをまとめてみるつもりになった…

『水に似た感情』 中島らも 集英社文庫 内容については、著者による適切な「あとがきにかえて」(文庫版のみ)があるので、それを読むのが何よりだろう。感想らしきものを言うなら、躁状態の人が躁状態の話を書いたのを読んでいると、奇妙な感じになるのは確…

「かわいい」論 (ちくま新書)作者: 四方田犬彦出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2006/01/01メディア: 新書購入: 5人 クリック: 156回この商品を含むブログ (136件) を見る内容を見るまでもなくレジに持っていった本で、最初はやはりわくわくする気分も持ち…

『メメント・モリ ―私の食道手術体験』

後藤明生 1990年 中央公論社 ISBN:4120019160某所のブックオフで購入。800円、帯付、目立った汚れなし。平成に入ってからの本であるし、ネット上で探して手に入らない本ではない。しかし、店頭で売っているのを見たのは(都内の古本屋をそれなりに廻っている…

プラトン・ファイト

佐藤哲也 『熱帯』 熱帯作者: 佐藤哲也出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2004/08/25メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 17回この商品を含むブログ (52件) を見る以下の部分を読むだけでも(笑える人には)買う価値があるかもしれない。立ち読みする価値は…

あしたのために

とり・みきの『犬家の一族』ISBN:4198330816 には「あしたのために」という(かなり興味深い)自伝マンガがある。最初その題名を読んで「あしたのために、ねえ。なんかのフレーズっぽいなあ」と思ったりしていてしまっていたのだが、当然ながら『あしたのジ…

狂人関係

上村一夫 ホーム社/集英社 ISBN:4834272265 1巻の帯の絵が買うきっかけであった。 内容は「北斎と捨八、ふたりの絵師の姿と、江戸に生きる名も無き人々の人情を描いた時代ロマンの傑作」という帯の紹介のとおりだと思う。 そうした点でいえば、広い意味で…

東京カイシャイン 1

エンターブレイン ISBN:4757702167 タイム涼介とうすた京介はどちらも好きなマンガ家で、似ている部分もあるが(あらためて見れば名前もよく似ている)違う部分があるから両方好きなのだろう。『日直番長』『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん』…

どろろ草紙縁起絵巻

武村和子 フィルムアート社 1996 ISBN:484599657X 数年前、今は無き池袋のACT SEIGEI シアターで『どろろ(と百鬼丸)』を見た。オールナイトで見たためか、最後の方など印象がない。モノクロの画面のテクスチャと「ほげたら」の主題歌が一番記憶に残ってい…

『あかるい部屋のなかで』

金井美恵子 ISBN:4828857451 なぜか川崎の紀伊国屋で売っていた福武文庫版。 より「あかるい部屋のなかで」 男性に関する描写がうまいと感じるのは、単に他であまりそういう描写を目にしないからだろうか。それとも作者がうまいのか。性的な描写なので引用は…

『首塚の上のアドバルーン』

より、「黄色い箱」 前半は<私>の語り、後半は「杉山氏」との会話からなる短編。とりあえず、黄色い箱には「注意」をしろという含みがあり、青い屋根と赤い屋根には進むものと止まってしまうものを分けるという役目がある・・・などと考えてみた。「進んで…

『首塚の上のアドバルーン』

後藤明生 ISBN:4061976834 より、「ピラミッドトーク」 まず前に書いた『挟み撃ち』の感想を訂正する。あれは素直でなかった。ハマったならハマったと書けばよかったのだ。 今日また読んで自分が恐ろしくツボを突かれていることを実感した。この短編の結び(…

『Neko2』(ネコネコ)

ISBN:4091846912 岡崎二郎の作品だがまあネコが題材で、いかにも可愛い感じで、そんなに面白くないんじゃないかと思っていたが、やっぱりよく出来ていた。期待を裏切らない。どの作品でもすごいと思うのは、きっちりストーリーが作られていることである。そ…

『オモライくん』永井豪 ISBN:4796603832

変わった版で安く手に入れる。各所になかなか再版されない理由となるであろう箇所がある。あと食事どきには読めないマンガである。オモライくんの食い物に関わる場面では、作者も顔を出して食欲が失せることを訴えるぐらいである。基本的にきたなさを笑うギ…

『挟み撃ち』 後藤明生

何が「挟み撃」たれているのか? 最後まで読むと、形式的に挟み撃ちがあることがわかる。問題は次からで、個人の内面において挟み撃たれているものは何かという問いに進むことも可能だし、思想的に挟み撃たれているものを問うこともできる。さらに現代の立場…

火の鳥 ギリシャ・ローマ編 ISBN:4048536443

正確にはエジプト編から始まる物語となっている。掲載誌は「少女クラブ」で、この角川の雑誌タイプ版に同時に所収の「漫画少年版 火の鳥」(1954〜1955)に次いで一年後に書かれた、「火の鳥」として初期の作品である。まずこう言っておかなくてはいけないの…

『挟み撃ち』 後藤明生 ISBN:4061976125

最後まで読んでいないのでメモのようなもの。 自分に起きる出来事を、すべて「突然」起きたと述べてしまうのは、その出来事に対する分析や説明から逃げてしまうことである。しかし本来すべての出来事は突然起こる。どんなに強力な原因があったとしてもそれが…

火の鳥 生命・異形編 異形編について。 実験的な手法が見事な効果を発揮している。シリーズで最も有名であろう鳳凰編以降では、非常によくできている作品といえる。そのからくりの性質上、歴史を描くという側面は希薄だが、同様のSF的アイデアを使ったもの…

副題が帯で隠れている・・・

ピュ―と吹く!ジャガー 6 ISBN:4088735382 週刊少年ジャンプを毎週読まなくてはいけないなあと思った。半年のあいだ単行本が出るのを待ってるのはあまりにもったいない。リアルタイムで読みたい。6巻目の特徴は、大半の1笛(1話)の最後に「うすたのひと…

『異国伝』佐藤哲也 ISBN:4309015794

フィクションを読んで驚くことは少なくなったが、佐藤哲也の短編はいつもと言っていいほど驚きがある。『ぬかるんでから』では色々なところで驚かされた。この書き下ろしの作品は形式が一定である分、語り方に驚かされることはないかと思いきや、さにあらず…

三つ目がとおる KPC完全版シリーズ

三つ目がとおる スマッシュでさよなら KPC ISBN:4063531317 惜しいのは結局写楽の行く末について何ら決着をつけていないところである。二つ目の人類への復讐を誓う写楽に何らかの応報がないのは物語のカタルシスとしてどうかと思う。ただ、それと不可分な写…

単になんぎなうし

みうらじゅんのマンガ。1984年青林堂刊。初出は1982〜83年ガロなど多数。ISBNでなさそうな数字が記されている:0071-0127-3863:これは何という記号だったか? エロと牛と貧乏と鼻水とかにまみれたマンガだが、内容は古さを感じさせない。絵では、人物の…

最後の長編エピソード

三つ目がとおる「怪鳥モアⅠ」 KPC ISBN:406353121x これまでも写楽が学校でシゴキにあう場面は多かったのだが、今回もふつうのコマ割で1ページ以上も竹刀で叩かれている。思いつきだが、手塚治虫はスポ根ものに含むところがあったのではないだろうか。ま…

『天使』

佐藤亜紀 2002 11/15 文藝春秋 ISBN:4163214100枝葉の部分から箇条書きで。 「感覚」の描写は強烈で、読みごたえがある。 帝国の終焉の場にいる感慨などは、作者の独壇場とも言いたくなる。 ストーリーはきれいに結んでいない。続編も書けると思う。 題名の…

必然の展開

三つ目がとおる 「地下の都」 KPC ISBN:4063531163 今回は「地下の都」という謎の解決が主軸でなく、写楽の抱える問題の解決にその謎が役立つ、といった話。バンソウコをとった写楽は(二つ目の)人類にとって危険すぎる、と育て親の犬持博士は手術で目を潰…

裸オチ

三つ目がとおる「古代王子ゴダル」 KPC ISBN:4063531090また「裸オチ」である。和登サンが裸になって事件が収束するというパターンが何でこんなに描かれるのだろうか。手塚治虫が楽しんで描いている、ということも考えられるのだけれど、とりあえず次のこと…

先生がいっぱい

安田弘之 小学館 2003 10/1 ISBN:4091871011少し前にスペリオールを読んだとき(第8話)印象に残った作品だったが、作者に注意していなかった。こうして単行本になったのを読むと、おもしろいのだがまだ物足りない気がする。多くのキャラクターを生かすこと…

『漱石を売る』

出久根達郎、文春文庫、1995古本屋によく通う私にとって、外出先で少し時間のあるときに読むうってつけの本だった。適度に感情に作用し、頭の働きに役立ち、少し役に立つ情報もある。だから過度に没入せず、周りに配慮しつつ読めた。

『プールサイド小景・静物』

庄野潤三 新潮文庫。 まだ冒頭の短編「舞踏」のみ。1950年に発表。わざわざ西暦にしてみたが昭和25年のほうが明らかにしっくりくる。読んでいて成瀬巳喜男の『めし』*1を思い出した。 結婚5年目で長女が3歳、夫は安月給の市役所勤め、そこに起こる夫…

『歌舞伎キャラクター事典』

荒俣 宏、いまいかおる・絵、1987、ISBN:4403220304 読むというより引いて使う本だが、今まで使える所に出していなかったので、つい色々読んでしまった。ひとつのキャラクターに荒俣宏のひとこと紹介、人物、物語、歴史、名科白、雑(学)などの項目とか…