(旧)週間買った本

2013年まではてなダイアリーに書いたもの。

『首塚の上のアドバルーン』

より、「黄色い箱」
前半は<私>の語り、後半は「杉山氏」との会話からなる短編。とりあえず、黄色い箱には「注意」をしろという含みがあり、青い屋根と赤い屋根には進むものと止まってしまうものを分けるという役目がある・・・などと考えてみた。「進んでいる」ものは、室内テニス練習場、新住民、都市、新人類、エアーソフトガン、若者などと出てくるのだが、そうすると、止まってしまっているものも対比されていなければならないだろう。もちろんそれは出てくるのだが、<私>が止まっているものに属しているためか、いささかトーンが低い。そして同族であろう「杉山氏」の「・・・」の多い話し方のように、歯切れが悪く、「ピラミッドトーク」のようなきれいな形を持っていない。それは<私>の、旧住民よりは少なくとも新しい、というポジションが示す居心地の悪さのようでもある。
もう何度か読んでみたほうがよく読めるかもしれない。