(旧)週間買った本

2013年まではてなダイアリーに書いたもの。

『挟み撃ち』 後藤明生 ISBN:4061976125

最後まで読んでいないのでメモのようなもの。
自分に起きる出来事を、すべて「突然」起きたと述べてしまうのは、その出来事に対する分析や説明から逃げてしまうことである。しかし本来すべての出来事は突然起こる。どんなに強力な原因があったとしてもそれが次に同じ結果を導くとは限らない。またたとえその出来事を予測していたとしても、起こる日時を正確に予測しない限り、突然であることには違いがない。それが「突然」だったとして語られないのは、人に物事を語る立場にある人間が、その出来事に当然のように何らかの理由を後付けするからである。あるいは見栄からか、自分がその出来事を予感していたように思いこみ語ってしまうからである。もっとも、その出来事が起こる理由を知っているからそれについて語っていると言えなくともない。しかし出来事はあくまで突然起こるものだという認識は、忘れられてはいけない。それは個人として物事を語る際の基盤だからである。
この本を読んでいる人にはわかるかもしれないが、上記の論理は作品中盤の主人公の兄へ向けた語りを読み違えて書いたものである。しかし、こうした論理を書いてみるとちっともおもしろくないものになるのは、単に私の力不足である。