(旧)週間買った本

2013年まではてなダイアリーに書いたもの。

火の鳥 ギリシャ・ローマ編 ISBN:4048536443

正確にはエジプト編から始まる物語となっている。掲載誌は「少女クラブ」で、この角川の雑誌タイプ版に同時に所収の「漫画少年火の鳥」(1954〜1955)に次いで一年後に書かれた、「火の鳥」として初期の作品である。まずこう言っておかなくてはいけないのは、絵が他とまったく違うからである。わかりやすい違いは、コマが4段組で一列は大抵3つに分割されている(ギリシャ編5の途中だけが3段組)ことで、1ページにそのままいけば3×4=12コマあることになり(平均はおおよそ10コマだと思うが)そのコマももちろん長方形であって、印象は古いというより「レトロ」である。同様の時期の他のマンガも読んだことがあるので、そうした形式的な面で驚くことはない。だが、装飾過多な扉絵からしてそうだが、その絵は『リボンの騎士』の手塚治虫なのだった。そしてディズニー映画にあこがれた手塚治虫の絵だった。古いマンガの形式、記号表現でありながら、ひとコマひとコマの密度は非常に濃い。その絵の笑い、喜び、泣き、歌っている様は圧倒的で、ひとつひとつ抜き出しても鑑賞に堪えうると言ってもよい(そのことは逆に形式の古さを現しているのだが)。少女歌劇的なつくりもその絵にふさわしい。即座に、いま読んで面白いかどうか疑問だった『リボンの騎士』も、買って読むことに決めた。
ISBN:4257987529 文庫は ISBN:4041851130

参考は http://www.tezuka.co.jp/