(旧)週間買った本

2013年まではてなダイアリーに書いたもの。

『歌舞伎キャラクター事典』

荒俣 宏、いまいかおる・絵、1987、ISBN:4403220304
読むというより引いて使う本だが、今まで使える所に出していなかったので、つい色々読んでしまった。ひとつのキャラクターに荒俣宏のひとこと紹介、人物、物語、歴史、名科白、雑(学)などの項目とかわいいイラストがついている。で、例えば「和藤内」なら「日本人でただ一人、オランダ東インド会社と闘って勝利した歴史上の人物。ハーフの英雄だ。」とあって、父鄭芝龍の思いを組み…といったキャラクター紹介、「国性爺合戦」のあらすじ、鄭成功がモデルといった歴史上の説明、「南無三、紅が流るるワ」といった科白、、この「南無三」とはサイコロの三の目に由来するといった説があり…といったマメ知識が載っている。
歌舞伎の鑑賞に使えるのはもちろん、お軽・勘平って何の話だったっけ、というときなどに使える。また読んでおけば「しのだ」といえばなぜキツネなのか、「安倍晴明のお父さんの保名ってのが狐と結婚してできた子供が晴明で、その葛の葉って狐が別れる時に、恋しくば たづね来てみよ和泉なる 信田の森のうらみ葛の葉と詠ったから」などと語る事ができるだろう。まあそんな機会がなくても、近代の小説などを読むのに役に立つことは多い。あと講談、浪曲のキャラクター事典も欲しい。そこに出てくる人物は、ある時期には誰もが知っていた人物であるからだ。