(旧)週間買った本

2013年まではてなダイアリーに書いたもの。

どろろ草紙縁起絵巻

武村和子 フィルムアート社 1996 ISBN:484599657X
数年前、今は無き池袋のACT SEIGEI シアターで『どろろ(と百鬼丸)』を見た。オールナイトで見たためか、最後の方など印象がない。モノクロの画面のテクスチャと「ほげたら」の主題歌が一番記憶に残っている。原作はもっと早くに読んでいて、水木しげるの妖怪マンガに昔から親しんでいた自分には非常に馴染みやすい手塚マンガだった。著者はこの全26話のTVアニメーションにあてられた人で、細かいデータと様々な連想、関連するキャラクターによる対話や物語りで綴られる本書は、このアニメを見た人にとって非常に興味深い内容である。ただし、この作品自体がなかなか見られない状況では、なんとも仕方のないところがある。その原因は百鬼丸の体のあっちこっちがないことではなくて、彼に向けられる登場人物の差別発言にある。同様の設定は最近なら『鋼の錬金術師』でも同じだが、主人公はそんな言葉を投げかけられることはない。よい時代だということだろうが、この強烈なアニメが広く見てもらえないのは残念だ。DVDで出たりしないのだろうか。