(旧)週間買った本

2013年まではてなダイアリーに書いたもの。

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どの場面が当の団地かというのは住んでいた人間にはすぐ分かるからいいのだが、かえってそうでない(棟が平行に並んでいる、など)ところに注意が必要だと感じた。当然その背景が必要だから使われているわけで、その効果も(議論の主張からは離れるが)明確にしておかなくてはならない。例えば、戦っている二人を子供たちが見ているシーンは、当の団地ではない。加えてベランダが向かい合うように建設されることはありえないから(普通は南向きにそろえるだろう)非現実的でもある。それは子供たちの力が集中していることを視覚的に示すものとして、平行に並んだ団地を使い効果を上げている(p128-129)。また団地の眺めを描くのでなく、人物の背景として描く場合は、棟が平行に並んでいる方が見やすいうえに描きやすいことと考えられる(p202-203)。あと団地の規模の大きさを示すことが効果的なときは、違うものとなっている(p185)。