(旧)週間買った本

2013年まではてなダイアリーに書いたもの。

エーコとサッカー (ポスト・モダンブックス)

エーコとサッカー (ポスト・モダンブックス)

2年近く前の本だが。さほど長くないものの、少し読んだところで気づいたところを。
まず、サッカーをカーニヴァルやスペクタクル、見世物と本質的なかかわりがあるとするところは(著者は指摘しないが)非常にイタリア的だなあと思う。
もうひとつ、エーコの態度は、サッカーについて語ることが日常的であることを前提のひとつとしていて、日本の状況とはずいぶんと違う。ただ、本文中の次のような例を理解するのは少し前ほど難しくないと思う。スコットランドアバディーンFCのサポーターが、「羊の尻を追うだけか、おまえらは」と野次られるとその敵サポーターに「羊の尻を追うだけさ、俺たちは」とコールし返す、という話が載っている。下品なコールに自虐的に切り返しているのだが、精神分析学的な視点からはややこしい話だと著者は言っている。このアバディーンのサポーターの「イデオロギーのコード変換のさらに詳細な分析」が次の本に載っているそうだ。こういうサポーターのコール合戦がどういうものか、今の日本のサッカーファンならある程度理解できるし、年季が入ってると感心する人もいるのではないか。
Entering the Field: New Perspectives on World Football (Explorations in Anthropology)

Entering the Field: New Perspectives on World Football (Explorations in Anthropology)