(旧)週間買った本

2013年まではてなダイアリーに書いたもの。

先週行われた兵庫県立美術館での森村泰昌やなぎみわの「記念対談」について。
展覧会の方は前に見ていて、常設展に併設の小企画は当日見た。
12時前に行ったところ、整理券はとっくに配り終えられ、別室で中継映像を見ることになった(それも並んで待った)。
打ち合わせはしない、という対談だったそうだが、聞きたいと思っていた話は十分聞けた上、最後に大野一雄の追悼公演のために作られた新作の「なにものかへのレクイエム」が上映されるなど、非常に濃密な内容だった。
興味があったのはまず二人の関係で、普通に考えればその年齢から一方は強い影響を受けていると思われるところである。やなぎみわの話では、直接指導を受けたわけではないが、「師匠」であるとのこと。まったくの推測だが、「師匠」の作品をむかし相当研究したんだろうなと感じた。まあ余談だが、師匠の方は還暦を迎え少し大御所っぽくなっており、批評眼のある「話のできる」弟子と論戦すると分が悪いのではと思う。
もう一点聞きたかったのは制作手法の変化の話である。両者の過去の代表的な作品は写真を使ったものだが、近年は映像など写真以外の手法が表に出てきている(「「その他」のチカラ」という併設の展示を見ると森村泰昌が多彩な手法を駆使してきたことがわかるのだが)。そのあたり、やなぎみわは自身の作品にあった演劇性を(映像やパフォーマンスに)展開させたというように語っただけだが、森村泰昌の話はかなり突っ込んだ内容だった。私が覚えている論点からまとめると、写真から映像への変化は、静止した写真を揺さぶって動かすことで、作品に今の時代に通用するリアリティを与えたかった、ということだった。
そのほかにも興味深い点はいろいろあったのだが(やなぎみわの「売ることを目標にするのは楽だ」という話なども印象に残った)、それなりに昔から知っている芸術家の対話はやはりなかなか感慨深かった。