(旧)週間買った本

2013年まではてなダイアリーに書いたもの。

フエンテス短篇集 アウラ・純な魂 他四篇 (岩波文庫)

フエンテス短篇集 アウラ・純な魂 他四篇 (岩波文庫)

岩波(文庫)で読めるラテンアメリカ文学の3冊を読み終わったので比較した印象を書いておく。
『ペドロ・パラモ』は、読んだことの無い人は読んでおけ、という類書を見ない作品だった。上記の中でも一番ラテンアメリカの作品らしく、メキシコの風土を強く感じさせた。一方コルタサルの作品集は西欧を舞台としていて、祖国アルゼンチンよりも多くを過ごしたフランスなど西欧の文学の流れから見たほうがよいのかもしれない。上記の中ではもっとも実験性が高いだろう。破滅的なサックス奏者の姿を追った「追い求める男」などはいかにも無国籍という感じがする。「南部高速道路」という短編は、「渋滞文学」というジャンルがあるなら最高の作品だと思う。フエンテスの短編集は上記の中ではもっとも幻想性の強い作品集だろう。加えて現代的で、ラテンアメリカ的だと言える点がしっかりあると思う。