(旧)週間買った本

2013年まではてなダイアリーに書いたもの。

サッカー狂い―時間・球体・ゴール

サッカー狂い―時間・球体・ゴール

新装版を持っているのだが、安かったので一応買った。家に帰り、少し傷んでよごれたカバーを取ってみると、二度も驚かされた。
表紙には、茶色の、背が剥がれ染みのできた、古い洋装の本の表紙の写真が印刷されている。その表紙の中央には、今にもボールを蹴ろうとする人物が刻まれたメダルが嵌め込まれている。背は、剥がれて中の紙が剥き出しになり縞模様を見せているところに表題が印刷されていて、なかなか格好よい。
多少の驚きとともに感心して装幀は誰かと奥付を見たら「表紙・カバー作品および装幀=大竹伸朗」とあり、ほうと驚き、なるほどと多少納得した。
それで、カバーの中央に描かれた人物などそう言われればらしく見えるなあ、と何気なくまったく気にしていなかったカバーの裏側を見てみると・・・これが本当に驚いた。
オモテは題名、著者など以外は、シンプルな筆の線で描かれたボールを蹴る人物と、青い点で縁取りがされただけの、白い、あえて言えば目を引かないデザインである。ところがその裏面には、縦は4段、横は18列以上にわたって、白黒の往年の(おそらくイングランドの)サッカー選手の写真が貼り付けられているのである。根拠はないが1950年代かその前後というところだろうか。全部で58枚もの写真はすべて同じ判型で、カードかブロマイドのように見える。一番下の段だけセピア色の着色された顔写真で、これはかなりインパクトがある。それより上の段はすべてプレー中の全身写真だが、選手名やクラブが記され、一番上に“CHURCHMAN'S CIGARETTES”とある。まさかタバコの包装ということはないだろうから、タバコ会社の景品のカードのようなものだろうか。
そうした写真とともに、当時の広告や絵葉書なども貼り付けられデザインされたこのカバーは、迫力があり見ていて飽きない。できることならずっと壁に張っておきたいような「作品」である。