(旧)週間買った本

2013年まではてなダイアリーに書いたもの。

孤独のグルメ

孤独のグルメ

東京で8年ほど一人暮らし(もちろん男の)をしていれば、ここに出てくる店に行ったことがあっても不思議ではないのだろう。私は2ヶ所主人公と同じ場所に行って似たようなメニューを食べ、似たような感慨を得たことがある。店舗の場所は違うものの同系列の店で同じような場面を垣間見たこともある。この本でそういう事態は予想していなかったのだが。
もっともこの「ああ、あそこの店で」という読み方は、一番興味深く感じたことと深くは関係しない。主人公の心理や行動が平凡でなくユニークに感じられるような、距離を置いた客観的な描き方にポイントがあると思うからである。言い換えれば、平凡な主人公をユニークに描いている、ということになるのだが、平凡な主人公は単にどこにでもいそうな人物なのではなくて、きっちりとどこかに存在する人物のように描かれている。リアリティがある、ということなのだが、それがマンガで重要な要素を担うことは、よくできたマンガであっても、少ないと思う。